2007-08-27

東京の携帯通話料、NYの3倍、ソウルの2倍

 25日の朝日新聞に「東京の携帯通話料、NYの3倍、ソウルの2倍」という記事http://www.asahi.com/business/update/0825/TKY200708250189.htmlがあった。

総務省が近く公表する調査で分かったが、東京の一分あたりの通話料がニューヨークの3倍超だと伝えている。

仕事で携帯電話に関わっているものとして、その報道が正しいのかどうか確認してみた。

記事によれば、日米の月あたりの音声通話料金の平均値が4千円で、東京は97分、ニューヨークは672分の電話をかけているそうである。米国では発信側、着信側の両方に通話料がチャージされるので、通話料の比較の上では、日本の4千円に対して、米国はその2倍の8千円という計算になる。まあざっくりいって、通話分数が6倍超で合計金額が2倍というなら、確かに一分当たりの通話料は3倍超になる。

ロジックは間違っていない。 ここで、そうか日本の携帯電話料金はそんなに高いのかと思って納得してはいけない。 なぜならドコモやauの料金プランでも672分の無料通話のついたプランで年割りだ家族割りだを採用すると、8千円くらいで収まるのである。試しにドコモのカタログを見てみればいい。タイプLLという料金体系を選べば、733分の無料通話が各種割引をフルにつければ7665円(消費税込み)である。

これは通話料金が高い云々よりも、携帯電話を使うスタイルの問題である。 米国でもメール文化が進んでいるようだが、まだまだモバイルインターネットでは後進国で、音声通話をする人が多い。また平均的な米国人は、平均的な日本人よりおしゃべりで、電話での長話を延々とする。とまあ、これは個人的な感覚だが、うなずいてくれる方が多いのではないか。
たくさん音声通話をするから、計算上は確かに一分当たりの通話料は下がる。この記事ではデータ通信料金については触れられていないが、想像するに、日本の方が平均的なデータ通信(パケット)料金は高いが、パケット当たり通信料金は安い、という上記の音声通話料とは逆転した状況になっているのではないか。

朝日新聞さんも総務省発表だからと丸呑みにしちゃあ、ジャーナリストとして恥ずかしいと思う。
総務省とその研究会が『為にする議論』というか我田引水というか、なんとしても日本の携帯電話料金は高いと結論付けたいが為だけの論理展開である。
総務省のモバイルビジネス研究会が結論付けている、販売奨励金の見直しを正当化するためだけの調査研究である。文化背景も環境も違う、そもそも物価水準が全然違うところへ持ってきて、平均的な通話料金を一番安いプランで適応したときの一分当たり通話料金を比較することにどういう意味があるというのか。

長く通話する他人の方が一分当たりの通話料が安くなるのは、ボリュームディスカウントといって、世の中では当たり前のことなんですけどねえ。 どうお考えでしょうか、日本の良識を担ってらっしゃる朝日新聞さまは。